西荻窪「坂本屋」の、世界一美味しい「カツ丼」で疲労回復、スタミナアップ。これホント、じんわり旨いんだよねぇ…

すました顔してカツ丼に食らいつく、すっぴん美人の気品ある横顔に見とれてしまうオノちんこと、辛口評論家の小野員裕です。
今回紹介するのは、世界一美味しいカツ丼。
「やだー、豚肉だし揚げ物だし、太っちゃう!」なんて思っているすっぴん美人ちゃんも、多いのかな?
豚肉はね、ホントに体にいいのよ。良質なタンパク質を多く含んでいるから疲労回復、免疫力アップにはもってこい。
それと豚肉にはビタミンB群も豊富。特に、脳の中枢神経や手足の末梢神経の機能を正常に保つ効果があるビタミンB1は、なんと牛肉の10数倍多く含まれていて、全食品類でトップクラス!
このビタミンB1が不足すると、食欲不振、肩こり、めまい、動悸、下肢のしびれ、イライラなどのいろんな症状が現れてそりゃ大変。
それとビタミンB1は、アルコール分解の際に多く消費されるので、お酒大好きなすっぴん美人にとってもありがたいね。
とは言ってもお酒の摂り過ぎは禁物。
血液中の中性脂肪やコレステロールを増やす飽和脂肪も多く含まれているからほどほどに。
さて、今回紹介するお店に戻ろう。ここは連日行列で、客の9割以上が注文するのは世界一美味しいと言われている「カツ丼」だ。いっそのこと、カツ丼専門店にしてしまえばいいじゃないかと思うけど、ここはれっきとした中華屋。タンメン、餃子など普通に美味しいのよ。
ご覧の「カツ丼」800円、これが世界一のカツ丼なんだけど、見た感じはなんの変哲もないありふれた普通のカツ丼。
でもこれが、一口いただくとまるで違うんだよね。サクッと柔らか、タレの塩梅がドンピシャ。不思議に肉の存在を忘れてしまいそうな味わいで、強烈なインパクトはないけど、最後の一切れというところで「ああ美味しいな~、これがカツ丼ってやつだ!」そんな感慨に浸れる逸品。
ボリュームを感じさせないけど、食べ終わるとしっかりとした満腹、充実感に包囲される。
作り方を観察すると、ロースな肉をバッター液に浸し、パン粉をまぶし、揚げ油のラードに放り込む。店主はこまめに温度調節をしながらじっくりと揚げ、綺麗な狐色に仕上げる。揚がったカツを女将さんが素早くカット、玉ねぎとツユの入った鍋に投入し、ほとんどかき混ぜない卵を入れて蓋をして30秒ほどで丼に盛り、グリーンピースを散らして出来上がり。
とにかく絶妙によく仕上がった「カツ丼」で、この味わいはありそうなんだけどどこにもない。「坂本屋」だけが表現できる唯一無二の美味しさだろう。
なお「坂本屋」には地元の人も遠くから噂を聞いて来店する人もいるし客層は様々。男性はもちろん女性の1人客も多いので、すっぴん美人ちゃんも気軽に入りやすい雰囲気なのでご安心を。
〈店舗データ〉
【住所】東京都杉並区西荻北3-31-16
【電話】03-3399-4207
【営業】11時30分~15時 17時~20時30分
【休日】日・月
【アクセス】JR中央線「西荻窪駅」北口から徒歩3分
取材・文/小野員裕(おのかずひろ)
グルメライター/フードプロデューサー
出版社勤務のかたわら、食べ歩きエッセイの連載や食イベントに関わり、外食産業で注目を集める。17歳からカレーの食べ歩きを始め、「横濱カレーミュージアム」の初代名誉館長、「オールアバウト」のB級グルメガイドを務め、書籍・雑誌・テレビなど数多くのメディアで活躍する〝元祖カレー研究家〟。食べ歩いた軒数は、カレー専門店3000軒、飲食店10,000軒を越す。
その他、食品会社へのアドバイザーや、外食産業のフードプロデューサーとしては、カフェの店舗開発、高級レストランの調理素材、無添加・有機素材を吟味したレトルトのパスタ用ソース、ドレッシングなどの開発に携わる。
またオリジナルレトルトカレー「小野員裕の鳥肌の立つカレー」(MCC食品)は発売10数年以上好評を博するロングセラー。
食べ歩きのブログ「元祖カレー研究家」を日々更新。
主な著書に『カレー放浪記』(創森社)、『魂のラーメン』(プレジデント社)、『ラーメンのある町へ』(新潮社)、『東京カレー食べつくしガイド』(講談社)、『作務衣を着た主人の店に旨いものはない!』(双葉社)、『おうちで本格インドカレー』(東京書籍)、『絶品エスニックバルレシピ』(日東書院)、『明治・大正・昭和のレシピで食道楽』(洋泉社)、『今宵もぷらぷら居酒屋天国!』(学研)など多数。