浅草「飯田屋」風情のある老舗のドジョウでたまには「丸鍋」。ドジョウを食べて夏バテ防止、そして若返り!

これからの季節は特に、料理屋のお座敷や屋形船なんかでくつろぐ、浴衣姿のすっぴん美人にウットリとしてしまうオノちんこと、辛口評論家の小野員裕です。
今回は、ドジョウだよ。皆が大好きなウナギのミニチュア版のようにも見えるけど、実はなかなか優等生な食材なんだ。ウナギに比べてドジョウはカロリー3分の1で、カルシウムは9倍、それとビタミンDが豊富に含まれているから、カルシウムの腸内吸収を増進するんだって。さらにドジョウのネバネバ成分は、血液を浄化して、細胞の働きを活発にするコンドロイチン。それとシミやシワを防ぐコラーゲンも含まれているから、すっぴん美人にはもってこいの食材ってワケ。
食べ馴れていないせいもあり、ドジョウを敬遠する人も多いと思うけど、それは単なる食わず嫌いじゃないかな。方々のドジョウ専門店を食べ歩いたけど、「飯田屋」は格別に旨い。
訪れると決まっていただくのが「丸鍋」(どぜう鍋)。
所謂ドジョウを丸ごと煮た鍋で、これがたまらない。タップリのネギを散らし、グツグツと煮えたところで食らいつく。柔らかな身と骨、ちょいと甘辛い割り下とドジョウの旨味が十二分に沁みた、ささがきゴボウのなんとも美味しいこと。途中、山椒を振れば2度楽しめる。これで酒をクィっと一杯、また、ご飯をいただいてもいいね。
「うちのドジョウは、主に青森、栃木、茨城の天然物で、そのつど状態のいいものを仕入れているんです」
と4代目のご主人。江戸の終わりごろの創業で、その当時は飯屋を営んでいが、明治35年頃からドジョウ料理を始めたそうだ。
「骨まで柔らかくするのって手間がかかるものなんですよね」
「ええ、ドジョウの骨は固いので。まあ、どこもそうですが、柔らかくするのにはいろいろな工夫があるんですが、その調理法は、内緒です」
うーん、その秘密が聞きたかった。穏やかな主人の人柄、従業員皆さんの接客の心配りも見事。長らく営まれてきた老舗料理屋の所以だね。
2間ほどの大暖簾をくぐると、広々とした1階座敷は40席、2階は60席に個室が1室あり、裏手にある別館にも40席のスペースがある。1番人気は「ほねぬき鍋」、次に「丸鍋」(どぜう鍋)、「柳川鍋」だそうだ。また、「どぜう汁」これも美味。濃厚でサッパリとした味わい、ランチに定食を提供しているのでお勧めだ。そうそう、通に人気のある「玉子丼」もぜひ試してもらいたいな。
こちらもおすすめ「どぜう蒲焼き」
さて、美味しいドジョウ料理でお腹が満たされたら、浅草寺や隅田川あたりを散策してみるのもいいよね。見どころが多く風情がある浅草は、予定を詰め込みすぎずのんびりしたデートがピッタリなのかもしれない。
〈店舗データ〉
【住所】東京都台東区西浅草3-3-2
【電話】03-3843-0881
【営業】11時30分~21時30分(21時ラストオーダー)
【休日】水 ※6月は、6/8(木)・6/25(日)も定休日
【アクセス】つくばエクスプレス「浅草駅」A2出口から徒歩2分
地下鉄銀座線「田原町駅」3番出口から徒歩6分
東武伊勢崎線「浅草駅」正面出口から11分
取材・文/小野員裕(おのかずひろ)
グルメライター/フードプロデューサー
出版社勤務のかたわら、食べ歩きエッセイの連載や食イベントに関わり、外食産業で注目を集める。17歳からカレーの食べ歩きを始め、「横濱カレーミュージアム」の初代名誉館長、「オールアバウト」のB級グルメガイドを務め、書籍・雑誌・テレビなど数多くのメディアで活躍する〝元祖カレー研究家〟。食べ歩いた軒数は、カレー専門店3000軒、飲食店10,000軒を越す。
その他、食品会社へのアドバイザーや、外食産業のフードプロデューサーとしては、カフェの店舗開発、高級レストランの調理素材、無添加・有機素材を吟味したレトルトのパスタ用ソース、ドレッシングなどの開発に携わる。
またオリジナルレトルトカレー「小野員裕の鳥肌の立つカレー」(MCC食品)は発売10数年以上好評を博するロングセラー。
食べ歩きのブログ「元祖カレー研究家」を日々更新。
主な著書に『カレー放浪記』(創森社)、『魂のラーメン』(プレジデント社)、『ラーメンのある町へ』(新潮社)、『東京カレー食べつくしガイド』(講談社)、『作務衣を着た主人の店に旨いものはない!』(双葉社)、『おうちで本格インドカレー』(東京書籍)、『絶品エスニックバルレシピ』(日東書院)、『明治・大正・昭和のレシピで食道楽』(洋泉社)、『今宵もぷらぷら居酒屋天国!』(学研)など多数。